中国文化の紹介

中国文化や中国語など自分が興味のあることを中心に記事にしています。有名なものはもちろん、あまり知られていないことも記事にできればと思います。最近は中国語を学びたい人向けに、中国語の文法や発音について紹介しています!

四元数とは何か?

四元数とは何か?

今回は虚数の進化系である複素数について説明していきます。

定義や計算方法、面白さを紹介できればと思います。

 

虚数

四元数の前に、まずは虚数の確認をしておきましょう。

普段我々が使う数字は2乗すると必ずプラスになります。例えば、 2^2=4 ですし、 (-3)^2=9 です。ここで「2乗したらマイナスになる数があってもいいのでは?」と考えられて作られたのが虚数です。
つまり虚数は次のようになります。

虚数は英語の iで表す

 i^2=-1

つまり、

 i= \sqrt{-1}\

これを使えば2乗してマイナスになる数を aiの形で表せます。例えば、 (2i)^2=-4だし、(5i)^2=-25となります。

また、普段我々が使っている数(実数)と虚数を組み合わせたものを複素数といいますが、それは以下のように表せます。

 a+bi

例えば、2+3iなどですね。

ちなみに複素数では上記の a実部 b虚部といいます。

四元数の定義

ここからは先ほど説明した虚数を拡張した四元数について解説します。

2乗したらマイナスになる数として虚数iを使用しました。ここからさらに2乗したらマイナスになる数として j kを追加します。(これらはiとは別物として扱います)つまり i^2=-1ですし、 j j^2=-1 k k^2=-1となります。実数と i j kの4種類の数字があるので"四"元数と言うんですね。

ちなみに先ほどの複素数のように実数と虚数たちを合わせて表記すると

 a+bi+cj+dk

となります。

ここで i jの積、 j kの積、 k iの積はそれぞれどのようになると思いますか?ここが四元数の面白いところで以下のようになります。

 ij=k jk=i ki=j

 ji=-k kj=-i ik=-j

なんだかきれいな形になっていますね。そして驚くべきことに掛け算の順番を逆にすると答えの符号が逆になっています!このような性質を非可換と言います。数字の種類を4つに増やした代償として可換性が失われてしまったのですね。ちなみに、この非可換性は四元数以外にも行列という分野などにも表れます。

そして i j kの3つを掛け算するとどうなるかというと、

 ijk=-1

という風になります。これも-1になるんですね。不思議です。

 

証明

これらの式を実際に導出してみましょう。導出と言っても簡単ですので、気楽に読んでいただいて大丈夫ですよ。まず  ijk=-1 を基準にして考えます.。この式の両辺に  k を掛け算してみましょう。掛け算の順番で答えが変わってしまうことに注意して右からかけてみると

 ijk=-1

 ijk^2=-1×k

 ijk^2=-k

 -ij=-k

 ij=k

これで  ij=k が証明されました。続いて、今導出した式の両辺に iを左からかけてみましょう。すると、

 ij=k

 i^2j=ik

 -j=ik

さらに  ij=k の両辺に右から jを掛けると

 ij=k 

 ij^2=kj

 -i=kj

となります。これで半分は証明出来ました!続いて ijk=-1の両辺に左から iをかけてみると

 ijk=-1

 i^2jk=i×-1

 -jk=-i

 jk=i

となります。これで  jk=i が証明されました。続いて、先ほどと同じように、今導出した式の両辺に jを左からかけてみましょう。すると、

 jk=i

 j^2k=ji

 -k=ji

さらに jk=iの両辺に右から  kをかけてみると

  jk=i

 jk^2=ik

 -j=ik

となります。これで全て証明されました!意外とシンプルな証明なんですよね。

 

四元数同士の足し算、掛け算

最後に四元数同士の足し算と掛け算の例題を1つ見てみましょう。

ここでは  2+3i+j+5k 4+i+j+3k を使いましょう。まずは足し算です。

 (2+3i+j+5k)+(4+i+j+3k)

 (2+4)+(3+1)i+(1+1)j+(5+3)k

 6+4i+2j+8k

となります。これは比較的簡単ですね。

続いて掛け算です。掛け算は下のような表を使うと計算しやすいので、自分で計算してみたい人はこれを見ながら計算してみてください。

                            f:id:danceinthememories:20220215054928p:plain

 

計算と途中、式が長くなりがちですが、計算自体はそこまで難しくないので一緒に見てみしょう。

  (2+3i+j+5k)×(4+i+j+3k)

 =2×4+2×i+2×j+2×3k

  +3i×4+3i×i+3i×j+3i×3k

  +j×4+j×i+j×j+j×3k

  +5k×4+5k×i+5k×j+5k×3k

 =8+2i+2j+6k

  +12i+3i^2+3ij+9ik

  +4j+ji+j^2+3jk

  +20k+5ki+5kj+15k^2

 =8+2i+2j+6k

  +12i-3+3ij+9ik

  +4j+ji-1+3jk

  +20k+5ki+5kj-15

 =8-3-1-15 +i+12i +2j+4j +6k+20k

 +3ij+3jk+5ki +ji+5kj+9ik

ここで上の表を使うと、

 =-11+14i+6j+26k

  +3k+3i+5j -k-5i-9j

となるのでまとめると、

 =-11+12i+2j+28k

となります。少し長かったですね。

まとめ

今回は虚数を拡張した四元数を解説しました。四元数は学校ではあまり習いませんが、理系の大学ではよく使われる行列のもとになりました。知名度のわりに意外と重要な分野なんですね。そして実は四元数以外にも八元数十六元数なども存在します。機会があればいつか紹介したいです。